【自作詩】ブラックボックス

誰にも触られたくない　誰にも見せたくない
醜い僕のすべてが　この箱に閉じ込められた
そして僕は心の奥に　その箱をしまい込んで
落ち込んだり闇に堕ちる度に　開いては醜さをしまい

やがて僕の身体の中は　この箱でいっぱいだ
僕の身体が土に還るまで　この箱は膨れ上がるのさ

どす黒い感情なんか　本当は持ちたくないんだ
僕の中にある黒い箱も　この手でぶち壊してやりたい
僕はナイフを突き立て　箱を壊そうとしたんだ

流れるどす黒い血とともに　箱の中身も飛び出すんだ
そのまま消えればいいと思った　僕の身体も黒い箱も
薄れ行く意識の中　引き止めるあの子の声

「負けないで」と君は叫んでる　僕はナイフを抜いて目を瞑った
君の声がこの黒い箱を　必死に打ち壊してる
僕は正気を取り戻して　ナイフを黒い箱に突き立てた
壊れない黒い箱と　ナイフ持って引き裂く黒い箱
やがて彼女の手が僕の上に　二人でナイフを引いたんだ

黒い箱は粉々になり　今僕は生きている
君が黒い箱につぶされそうなとき　ぼくが手を差し伸べていく
そしてふたりで壊してやるんだ　醜い黒い箱を

【自作詩】ハンマー

ほしいものをひとつだけ言うよ
僕はハンマーが欲しいんだ
君と僕の間にある壁を壊して
いますぐ君を抱きしめたいんだ

ほしいものをひとつだけ言うよ
僕はハンマーが欲しいんだ
僕の中を覆ってる壁を
いますぐ君に壊して欲しいんだ

僕は君に近づきたいんだ
でも君の前には見えない大きな壁
僕は手に持ったハンマーで
必死に壊してやるんだ

壁の向こうの君を　ただ抱きしめていたい
そして僕と君とで　新しい世界に向かうんだ

ほしいものをひとつだけいうよ
なんでも壊せるハンマーが欲しい
僕のまわりをさえぎる壁を
力いっぱいこわしてやるんだ

僕は君に近づきたいんだ
でも僕の中に見えないおおきな壁
僕は手に持ったハンマーで
必死に壊してやるんだ

僕の壁と君の壁がなくなったら君に会いに行くよ
君はよそいきの服をきて　僕を抱きしめて欲しいんだ

【自作詩】赤い糸、切れた

　
僕は信じてた　君との間に糸がつながってて
僕以外に見えない糸は　赤くそして儚い糸
君にも見えると思ってた　僕と君をつなぐ赤い糸
だけど君は笑いながら　この糸を鋏で断ち切ったんだ

君をよく見ると赤い糸は　僕だけにつながっていなくて
たくさんの赤い糸が　君の周りにつながっているんだ
君の赤い糸の結び目は　僕だけじゃなかったんだ
僕だけが有頂天になって　君だけにつながってると信じてた

僕につながってる赤い糸　端っこは誰にも繋がってない
だから僕は探しにいくんだ　この糸をつないでくれる人を

【自作詩】ハリネズミ

僕の体は棘だらけ　そしてココロにも鋭い棘
他人を近づけて　他人を傷つけてしまう
そんなつもりじゃ　なかったんだ
そしてみんな　離れてしまう

気がつけば僕はひとりで　周りは遠巻きに見て
それを見て僕のココロは　自分の棘で傷つけていく
苦しいのは体じゃなく　ココロが苦しんでいく
僕は落ちているナイフを　僕の胸に突き立てたんだ
だけど鎧がナイフを折って　死ぬことも許されなくて

この棘が憎いと　僕は棘をへし折ろうとした
だけどへし折った棘はまた生え　さらに硬く尖ってくばかり
死ぬこともできずに　棘を折ることもできずに
それでも隣に誰かがほしいと　いつもココロは泣いていた

だけど僕に近づいてきた　一匹の小さな栗鼠は
最初は遠巻きだけど　少しずつ近づいてきた
そのうちに栗鼠とハリネズミの僕は　少しずつ仲良くなって
その栗鼠は棘を抜いてくれた　ココロに突き刺さった棘と

もっと君と近づきたいんだ　だけど君を傷つけたくないんだ
そう思ってた僕の唇に　栗鼠は口づけをくれたんだ
「これだったら傷つかないわ」と
僕は言葉を捜す代わりに　栗鼠に口づけしかえしたんだ

僕が君を守ってあげるから　ずっと一緒にいたいんだ

【自作詩】道化師

俺は道化師になり続けるんだ
誰かが俺を見て笑ってくれる限り
なかには俺を嘲る奴もいるだろうけど
かまいやしない　喜んでくれるなら


俺の道化で誰かが笑えばそれでいい
みんなの笑顔が俺のガソリン
みんな俺で笑ってくれるから今日も生きていられる
逆に俺が救われてるんだ


君が俺を待っていてくれる限り
俺は君に会いに行く
そして最高の道化を見せてあげる
君が笑ってくれるまで


ふりむいてくれるのならおどけてみせる
ひとりぼっちはいやだから
みんな俺で笑ってくれるから今日も生きていられる
逆に俺が救われてるんだ